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本社をアメリカに移転

これに先立つ2004年11月、ニューズ・コーポレーションはオーストラリアから米国に本社を移していた。新しい本社所在地は、米デラウェア州だった。移転した理由は、資金調達を拡大するためだった。

SP500に登録された2004年12月17日、上場しているニューヨーク証券取引所では株価が上昇した。大手銀行系証券が「成長株」と太鼓判を押したことも株価を押し上げた。

さらに、マードック氏はニューヨーク市内で3階続きのマンションを購入した。購入金額は、4400万ドル(約46億円)だった。現金で支払ったという。

機関投資家が売りを急ぐ

移転計画の発表後、時価総額のウエートに基づいてニューズ株を保有していた機関投資家は「外国株になることで豪州市場での流動性が低下し、高い値がつかなくなる」と売りを急いだ。指数除外観測が出始めた2004年6月から4カ月間で、ニューズ株は9%下落した。

ニューズ株は、豪証取の取引額の約8%を占める巨大な存在だった。移転後は市場の時価総額が7%も縮小した。

資源と銀行株への偏重が強まる

この結果、S&P200種株価指数に占める資源株と銀行株の割合(時価総額ベース)が、52.8%から56.0%まで上昇した。市場関係者は「資源と銀行株への偏りが強まり、豪市場は投資家にとっての魅力が低下する」と懸念した。

ただ、豪州では住宅市場の活況に加え、主要輸出品である石炭や鉄鉱石の価格が中国需要などの影響で高騰していた。国内経済が堅調だった。資源株の上昇などを背景に、全銘柄で構成するオールオーディナリーズ指数は、史上最高値圏で推移していた。