20世紀フォックスやFOXテレビを買収
マードック氏が率いるニューズ・コーポレーション(略称:ニューズ・コープ)は、オーストラリア発祥の企業である。
1980年代半ばから米国へ本格的に進出した。ハリウッド映画会社「20世紀フォックス」を買収した。米FOXテレビや衛星放送大手を相次いで傘下に収めた。さらに、大衆紙ニューヨーク・ポストなどを買収。ニューズを急成長させた。
右翼系FOXニュースでCNNを追い抜く
保守・右翼系のニュース専門チャンネル「FOXニュース」を設立した。ニュースよりも、「意見」「センセーショナリズム」「娯楽性」を重視したニュース番組を展開した。共和党支持者の間で急速に視聴者を伸ばした。CNNを一気に追い抜いた。トランプ政権誕生の下地をつくった。
マードック会長は米国の市民権を取得した。事業の拠点はニューヨークに移しているが、登記上の本社はオーストラリアのアデレードにあった。
ニューズのビジネス
コンテンツ | 会社名 |
---|---|
映 画 | 20世紀フォックス(米) |
CATVチャンネル | フォックス・スポーツ、ニュースなど(米、豪など) |
新 聞 | タイムズ(英)、ニューヨーク・ポスト(米)、オーストラリアン(豪)など約170紙 |
雑 誌 | TVガイド(米)、ウィークリー・スタンダード(米) |
配信網 | 会社名 |
---|---|
衛星放送 | BスカイB(英)、スカイTV(アジア)、スカイパーフェクトTV(日)、スカイラテンアメリカ(南米)など |
CATV | フォックステル(豪) |
地上波TV | フォックス(米) |
倒産寸前の危機も
1980年代後半の拡大路線がたたり、ニューズは1990年に倒産寸前の危機に陥った。しかし、マードック氏は湾岸危機・戦争の影響をもはねのけ、危機を克服した。
前立腺がん発覚
2000年には軽度の前立腺がんも発覚した。2001年に70歳になった。このころ、米経営者の会合で「私には寝る時間と家族と過ごす時間、そして無駄な会議の時間を除いて17万5000時間(約20年)が残されている」と冗談混じりに話した。当面、経営の最前線にとどまる意向を示した。
長男ラクラン、次男ジェームズ、新妻ウェンディー・デン
当時、後継者として長男のラクラン・マードック氏(当時30歳)が有力視されていた。しかし、経営手腕には疑問符がついていた。二男ジェームズ・マードック氏(当時28歳)も含め後継問題は混迷していた。当時の妻、ウェンディー・デン氏(当時33歳、後に離婚)も、後継者候補だった。ウェンディー・デンさんは中国出身だ。
マードック関連の動画
追っかけインタビュー
中国系の元妻ウェンディー・デン
元妻、アンナ・マードック・マン
1999年まで約30年間マードック氏に連れ添った元妻、アンナ・マードック・マンさん(当時56歳)は2001年7月、沈黙を破って豪女性誌とのインタビューにこたえた。「(後継者問題には)胸が張り裂けるような思いや辛苦が伴う」と語った。
作家でもあるアンナ夫人は十三年前、「ファミリー・ビジネス」という小説を執筆している。ニューズをモデルとしたメディアグループの家族が跡目を巡って対立し、最終的に経営権を他人に手放す筋立てだった。