last updated December, 2000
2001年と2002年は忙しくてここの更新を休んでます。いずれ落ち着いたらまた書きはじめる予定です。
怠慢Notebookだったけど...さ〜書くぞ?「パトリオット」
及び二つのアイルランド映画
夏から全くこのページを更新しなかったわけはくどくど書くよりこちら(映画館主FさんのDAY AND NOGHT サイトのトップページのコンテンツ" Gateway " 内の" People "のコーナーに投稿)を読んで下さると助かるし嬉しいんだけど(^^;)
でここには何よりも「パトリオット」(のメル)。去年の夏にメルがサウスカロライナに入って準備中、というのを知った時から日本で公開されるのを今か今かと、それはそれは待っていた。だって前作「ペイバック」からずいぶん経ってるような気がする。結果的に全世界でい〜〜〜ちばん最後に公開されたのは日本。まずこれに関して文句がある。なぜ、なぜ? 8月にはオープンと期待してたのに。上映時間が長いから? アメリカの話だから? メルの映画だから? これ以上書くと愚痴と嫌みと悪口が出そうなので止める。うわ〜渋くなったというのが第一印象。それは写真や予告編でも見て取れたが、台詞が入り筋を追うにつれ、ヒーローじゃなく父親(時には母親の分も)の家族を背負う苦労と、過去に犯した出来事に対する罪悪感から来る懊悩が一本一本のしわに現れて、凄まじいほど年を経ている役柄を演じてる者の姿を見たという再発見だ。この年というのは天文学的な年令じゃない。余りの衝撃や苦悩で一夜で髪が白くなるというあれと同じもの。つまり頭より体の生理が先に働いてしまうような現象を、この映画で脚本家と監督とメルはああいう形(斧を持たせ鬼走りをさせる凄まじい殺しの衝動を放たせる)で表した。そしてさらにしわが深くなる。
彼のようなタイプの役者はかつて(ある人たちにとっては今も)アクションスターといわれただけあって、早い動きをさせると天下一品。特にメルはメリハリのある動きにおいて美しいともいえるくらいアクションが決まる俳優だ。だから息子を理不尽に殺され、今また子供の一人が殺されようとしてる時、髪が白くなったりする暇はない。父親ベンジャミンの体の中で手に取るようにアドレナリンが放出される。あの顔つきが変わっていくところは何度見ても感動する。以前彼自身が「ブレイブハート」を演出した際、エドワード王役のパトリック・マッグーハンの眼の動きだけで気持ちを表した演技に感銘して讃えていたが、今回あれに匹敵する眼技を見せてくれたと思う。メルの場合はあの眼だからインパクトは強烈だ。瞳の中に炎が起つ。メルの十八番。何時見てもゾクゾクさせてくれる。このゾクゾク感があれば私の場合、映画に満足ということになる。
さっき体の生理が先に働く...と書いたが、むしろこのベンジャミンの場合は病理的なものと言っていいだろう。
この病理的な性格を潜在的に持つ役は初めてではないが、この映画で改めてメルの頭の中を考えてみたりした。脚本を読んで主人公のどこに特に惹かれるか.....まっすぐじゃないどこかにねじれやひねりがある。英語でいうtwistな部分がメルは好きなんだと思う。だってメル自身がきっとそうなんだから!だからその対称として助演のジェイソン・アイザックス演じるタヴィントン少佐をみると面白かった。もうサディスティックな面がもろ表に出てて、隠さない。初めから終わりまでねじれなしの一本縄で徹底的な演技は見事だった!嬉しい発見。この俳優は別の面で凄みのある、ある意味で美しい男を演じてた。メルが斧なら、彼はサーベルだ。
彼を見てて思い出したのがリアム・ニーソンの「ロブ・ロイ」でやはり見事な敵役を演じたティム・ロスだ。こういう感じの憎々しいが頭がよく、腕も強く策略にも長けてるような敵役にはやはりイギリス人がぴったりのよう。こういうとそれでなくとも頭に来てるイギリス人達をもっと怒らせるかな(^^)。いつか映画全体も書いてみようと思う。はは、いつになるか。ビデオがでたらまたじっくり見てさらなる発見をしたい。
その他に見た映画の中でビデオでまた見たいと思ったのは「私が愛したギャングスター」これはアイコンプロダクションズが関係してるからという思い入れを差し引いても、ぜひまた見たい! ここでも助演たちがよかった。特に主演のケビン・スペイシー演じる頭のよいギャングをしつこく追いかける警部。執念といえば「逃亡者」のあの警部もしつこかったが、どっこいこっちはアイリッシュ。そこはかとなくすっとぼけててユーモラス。顔だけはしっかり気張ってるんだがいつも逃げられる。ギャングの方は反対でいつもへらへらしてるのに
きっぱり仕事はやりとおす。この対称も面白かった。サディアス・オサリバン監督、前回の「ナッシング・パーソナル」は重くてやりきれないテーマだったけど今回のような粋なコメディも作ってくれて、この人も目が離せないリスト入り。楽しみがまた増えた。もうひとつ...やはりアイルランド(もうアイルランドというだけで見ちゃうんだからしょうもない)「アンジェラの灰」これは2年前、原作を読んで大感動して以来、待ってましたの映画。
全く救いようのない絶望的に見える日常の繰り返しの中で、変わるものは子供の数と成長の様だけ。子供の数が減っていくという現実がやりきれない。なんであのノンべ親父は働かないの、と思わず口に出してしまいそうだった。あの時代一番少なかったのが働き口だったというのが全世界を通じての共通項というのは知識で知ってても、こんなのあり?と思うほど。全くアイルランドの親父はだらしない!
ここまで感じさせたのはロバート・カーライルの力だが、子供の目が素晴らしい。3段階の成長に伴って3人の子役を起用してるがどの子もうまいね。特に最初の子役の表情は、長じてアメリカに渡り苦労の末、家族を呼び寄せ、果てにピューリッツァー賞の自伝を書くに至った主人公の、ユーモア溢れる人格と機転と不屈の魂が良く現れてて、唸ってしまった。雨が止まず常にじめじめしてる川べりの街の風情は見てる我々には、詩情豊かな風景だった。実際あれじゃ肺炎にならない方がおかしい。でもこの映画はいわゆる悲劇じゃない。原作の方がよくわかるが、主人公は自分の周りをどこか突っ放した目で見てる。淡々とした筋はこびで悲惨なんだが悲惨さがない。たくましい。サバイバルでの勝者なんだ、結局は。そしてたぶんこの少年が生きていく上で身に着いた知恵を、生来の明るさでもって上手く世を渡っていくことがわかってるからだろう。
この映画はぜひ原作も読むことを強く薦める。
新潮社クレストブックス フランク・マコート:著/土屋政雄:訳「アンジェラの灰」1998年 ¥2700
会話の部分に「」が全く付いてないという非常にユニークな文体で、それでもなんら読むのに支障がないどころかけっこうなページ数を2日で読んでしまったほど。
なお続編として" 'Tis "も出てるがまだ未訳。これの方も映画化が決定してる。
読んだ後、見た後にこの作家を強く抱きしめたいと思うことしきり。(12/3)
◆◆◆◆
Gladiator(G) vs. Braveheart(BH)のちょっとファニーな
「似たものどうし」.....グラディエイターを見て。ひさしぶりのNotebookには「グラディエイター」のまじめな(?)感想を書くつもりだったが、どっこいここはメルのサイト。ちょうどアメリカのファンからちょっと面白いメールが送られて来たので紹介。ありきたりな感想文より面白いんじゃない?
GがBHを思い起こさせるというようなレビューは公開前からあったけど、時代劇という他に似ている点を、このファンはこんなにあげている。ま、ほとんどジョーク。ネタバレっぽいのもあったが気にせず読んで私はGを楽しみに見に行った。おかげで誰も笑わないようなところで笑い、驚き、この映画を2倍楽しむことができた(^^)
この映画はメルも主演候補に挙げられていたから因縁浅からず、もしあれがメルだったら、などと劇場の暗がりの中で独り想像をめぐらせてほくそ笑んだのであった......以下その内容を:
1. 主演俳優はどちらもオージー。2. どちらも3時間近い長さ(G=2'30、BH=2'50)
3. 馬がいっぱい。二人とも馬に乗る。
4. Gはマキシマスの、BHはウォレスのそれぞれの自由を得るための戦いを描き、最後には二人とも
それゆえに壮絶な死を迎える。5. Gはパワフルな音楽がつけられ、BHは心に残る音楽を持つ。
6. ラッセルはトーガ(注:原文のまま)/メルはキルトを着てた。
7. マキシマスはローマ軍団の将/ウォレスはクランのリーダー。基本的に二人とも政治的にリーダーになったのではなく自然発生的に多数の信頼を得てリーダーに。その心は純粋な忠誠心。
8. Gは古代ローマ史に基づき/BHはスコットランドの伝説に基づく。
9. 両方共に見逃せないのは、暴力と血を見ることへの恐れなき渇望。
10. 両方の主役とも情熱と復讐心を秘めて戦う。また二人とも実際より大男だと思われていた。
11. 二人とも映画の前半部で早々と身内を失う。二人とも形見の品を持っていた(マキシマスは小像を/ウォレスはハンカチを)
12. 二人とも映画での最初の戦いに勝利する。
13 .二人とも戦う前に「On my signal......(私の合図で....)」という指示を出す。二人とも戦いの前に死を美化して士気を鼓舞するスピーチをぶつ。(あるいはこれは通例の事?)
14. 二人とも戦闘中にあわや味方を殺しそうになって笑う。
15 ある似たような役柄が両方の映画に同じ俳優で演じられていた:トミー・フラナガンが演じた役はどちらも主役に忠実でそれゆえに壮絶な死を迎える。
16. どちらの主役も多数の民心を虜にした。特に本来は敵に当たる女性の心を。二人の女性とも高貴で、強く、決断力があり恋した相手に援助の手を差し伸べる。
17. どちらの女性も、捕らえられ鎖に繋がれた相手と牢屋で人払いをして会見する
18. Gからの引用:「What we do in life, echoes in eternity」/BHからの引用:「Life without freedom is no life at all」
19. 語呂合わせやだじゃれを賢く使って、場面の雰囲気を明るくするやり方が似たようなシーンで使われている。
20. 殺陣の振り付けは同一人物によって指導された。そして二つの作品とも大ヒットした!!
いやはや...(笑)これはブレイブハートを少なくとも3回以上は見てないと指摘できないと思うからさすがメルファン。かく言う私もその点では人後に落ちないつもりだが、ここで少しはまじめになって考察して見ると.......大きな違いの方が目についたというのが私の正直な感想。つまり歴史を再現するのに片や現代の最新技術を駆使しほぼ完璧な古代世界を見せてくれ、片やまったくCG技術を用いず伝統的ロケーション撮影とサウンドステージでの撮影だけで中世をリアルに再現したということだ。どちらがどうと言う問題でなく、どちらのやり方でも時代劇の再現は見る方を興奮させてくれる。なぜなら単純にそれが映像の魔法だから。
コロセウムの廃虚を見てこの中に5万人の観客が.....といっても想像はできるけど、ああして見せてくれたら、たとえ合成だと分かっていても「うわーっ」と口あけて呆れて見てしまう。所詮コンピュータが描いたものだから本物の持つ重厚さには及ばないけど、やっぱり私には魔法だ。それはアリーナ上での剣闘士たちの凄まじい戦いぶりの再現にも言える。カラーが昔のものと違って明るくなく抑え気味なせいかよりリアルでそれがかえって生々しい。
古代ローマなんて前衛映画でもない限り、今の時代ロケーションとセットで再現するのはどだい無理だから、CG映像には全く文句はない。よくぞ見せてくれました、とブレイブハートの時と同じく監督やスタッフには拍手喝采をあげたい。ただリドリ−・スコット監督の作品っていつもそうだけど、重いのだ。笑いが少ない。やりきれない。おどろおどろしい。いつ気が抜けるかな、と思ってしまう。やはり独特な人だ。そういうところもブレイブハートとは決定的に違う。そういう違いも含めてもう一度ビデオでゆっくり見てみたい。
そうそう冒頭ゲルマニアの森での戦いのシーン、気に入ったのはマキシマス率いる騎馬の一群が木立の中を信じられないスピードで駆け抜けるところ! カメラも凄いがあれを敢行したマキシマスの兵学的力量におそれいって、ここでもう主人公が並外れた人物だと言うことを確信した。とても美しいシーンだとも思う。あんなシーン今まで見たかしら? (7/20)
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Cherのキャラクターがいちばん気に入った...「ムッソリーニとお茶を」を見てやっと休みとれて新作映画を見に行く事ができた。 一昨年に図書館で見つけたフランコ・ゼフィレッリの自伝は後から出た文庫版を買ったほど気に入って、丁度その頃、この自伝に基づいて映画を作るというニュースも入り楽しみにしていた。本を読んだ動機はもちろんメルだ。でも残念な事に「ハムレット」のちょうど前で自伝は終わってた。続きを元気なうちに書いてほしい!(現在75歳) 事実は小説よりも奇なりとはいうが、この監督は実に数奇でドラマチックな経験をして来ててどこまで映像化するのかなと思ってたら....映画は少年時代と成長した10代までを描いた一遍の独立した詩情豊かな作品だった。この人の生涯のどこをとってもとても面白い脚本が出来上がると思うが、監督自身が生まれ育ち、多くの芸術的啓示を受けいちばん思い入れの強いフィレンツェを舞台にした少年時代を描いたのは当然だろう。
因に私はゼフィレッリ作品では、いわゆる時代劇の方が断然好き。「チャンプ」は悪くなかったがシェークスピアものや「トスカニーニ」「ブラザー・サン シスター・ムーン」などの方が心に残っている。メルにのめり込んでいったきっかけが「ハムレット」だったからなおさら(^^)。
私生児として生まれたルカ少年が当時フィレンツェに多く居住していたイギリス婦人達の暖かい庇護によってイギリス紳士のマナーや教育を、そして何よりも人と偉大な美術的遺産を愛する事の貴さを学んでいく。だから、そこかしこに見た事のある建物や絵画、彫像が出てきてこの手の物が大好きな私としてはそれだけでため息....中でもゼフィレッリ監督だからこそカメラを内部に持ち込んで撮影する許可が下りたという、ウフィツィ美術館のローマ時代の彫像の圧倒的なコレクションは「待って待って、お願い!カメラをとめて」と思わず心の中で叫んでいた。これは貴重なショットだ。
少年をとりまく5人の女達が文句なく素晴らしい。全員合わせて11個のアカデミー賞受賞&候補という大ベテランをよくぞ合わせたものだ。マギー・スミスは厳格でいくぶん尊大なイギリス上流婦人、ジョーン・プローライトは少年を引き取って暖かく時には厳しく育て最も影響を与えた女性に、ジュディ・デンチはイタリア美術をこよなく愛し少年にその偉大さを教え、リリー・トムリンも遺跡の発掘に熱心なアメリカ人を演じる。
そして美しく華やかなシェール。彼女はこの映画のポイントたる役を演じる。派手で成り金で騒々しくイギリス婦人達のひんしゅくをしばしば買うんだが、戦争が始まりイギリス人が収容所に連行されたのを知ると、黙って金を提供し、彼女らをホテルに移す手配をするという優しい心の持ち主だ。にやけたイタリア男に子供のように夢中になり、あげく金だけ取られ捨てられ、アメリカが参戦して今度は自分が危なくなった時、またもや子供のように泣いて不安がる姿がとても可愛くいったいこの人はいくつだったっけと思ってしまう。
彼女の窮状を最終的に救うのが大きくなってハンサムなレジスタンスになったルカ少年で、ここらあたりにほんわかと恋の芽生える空気が漂いとてもロマンチック。ここの別れのシーンは嘘でしょ、というくらい美しい1枚の絵画。この監督の作品はおおむねそうだが、さすがとうなるほど、どのシーンも切り取れば美しい古典的な絵画になり得るようだが、ここでもふんだんに見る事ができた。シェールがとっかえひっかえ着る斬新な衣装も彼女の見事な容姿を活かして見ものだ。戦争シーンも出て来るが悲惨な場面は全くなく全体を通してむしろ飄々とした流れでイタリア人らしい。洒落ッ気と美的センスは一級品。願わくばその後のマリア・カラスやヴィスコンティ等と知り合うストーリーも映画にしてくれないかなぁ.......。余談ですが「ゼフィレッリ自伝」(創元ライブラリ文庫/木村 博江・訳)は映画がお好きなら(そしてもちろんオペラ好きなら文句なく)とても楽しく読めます。お勧めの1冊。(6/9)
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