Lethal Weaponは疑いなく俳優ギブソンのより優れた資質を存分に表した作品と言えるだろう。この常に「ギリギリの所にいる」刑事の役を見た印象は、これが俳優が演じたものとはとても思えないという事だ。その演技はアドリブや即応性が強く、創意や機智に富みおまけに向こう見ずだ。まるでその役柄にというのでなく、その一瞬一瞬に賭けているよう。シャボン玉がどっから来てどこへ飛んでいくかなんてことはどうでもいい。重要なのはそれが光り輝く瞬間だ。
<<役者がこういう演技の大変さをあれこれ噂してるのを聞いても全部信じちゃいけない。何よりもこれは僕が楽しんでやっているってこと>> メル・ギブソンはかように享楽家である。これこそ他人と彼の違いを決定付ける要素なのだ。
なぜならそのすべての演技は歓びや楽しみを追求する事に向けられているのだから。
彼はいわゆる典型的なアメリカ人俳優の型からはみ出している。彼がハリウッドのシステムに完全に同化しているようには我々の目には感じられないとしても、似通ったステ−タスに達している多くのスターたちがそうであるように、彼もまた反抗的な人物というわけではない。 <<11人兄弟の家庭でどう反抗的になれるんだい? 食事時には5歳上の兄貴と両親の間に座らされたよ。うるさく騒ぐたびに、彼等にこっぴどく叱られた>>
さらに彼の実像は我々が勝手に作ったイメージとはかけ離れている。何ヶ月か前アメリカの"US"誌が彼を「今年の最もセクシーな男」として讃えたまさにその時に、ギブソンは6番目の子供が生まれた事を発表した! それなのに多くの大物プロデューサーが彼を引っ張りだこにしてるのだ。彼の心がハリウッドになく、撮影が終わると矢も盾もたまらず、そそくさとオーストラリアの農場に戻ってしまうという事も認めた上でだ。そして、南半球の大牧草地に取り憑かれているんだから、とっくに申し分のないカウボーイの親玉だろうと想像すれば、実はHamletでそれをマスターするまでは全然馬には乗れなかった事も知る....
アクションコメディのAir America の後、すぐに様々なレッスンを受けながらまるで彼本来の天性とは対極にあると思われるシェークスピアの作品の中でも、最も複雑な人物になる事によって、ギブソンは今回新しい野心のほどを見せつける。ピストルも派手なカ−チェイスもなしで。
かれ言うところの<<見かけの優柔不断さの中に、ハッキリとした一貫性が存在する>>役柄を洞察する事に単純な歓びを感じながら。さらに言う;<<ハムレットは僕なんか足下にも及ばないくらい知的な人物さ....>>
今までに俳優がこの役についてこういう言葉で話したのを我々は果たして聞いた事があっただろうか。
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